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環境社会学・地域社会学 研究室
環境政策

環境社会学・地域社会学 研究室

黒田 暁 先生
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INTERVIEWER:今日はよろしくお願いします。さっそくですが、先生は「社会学」を専攻されているとうかがいました。具体的には、どのようなことを研究されているのですか?
黒田 先生:はい、よろしくお願いします。そうですね、「社会学」は、大学生になってはじめて見聞きする、という方も多いと思います。社会学は人と人のつながりを問い、現実社会でいま何が起きているのか、その実態をとらえ、社会問題のメカニズムを解き明かそうとします。社会学自体は、社会科学の領域のなかでも、人文科学に近い性格をもっていますが、私は「環境(の)社会学」や「地域(の)社会学」という視点をとおして、現場にフィールドワークに出かけることが多いです。これまで九州から北海道までの各地で身近な自然や地域資源との関わり方について調査をしたり、長崎ではとくに島嶼地域の自然環境と地域コミュニティの固有の関係性に注目したり、東北地方では植物利用の地域のルールに関して、さらに災害で大きな被害を受けた地域がどのように再生・復興をはかるか、など多彩なテーマを追究してきました。

INTERVIEWER:なるほど、社会学の広い視点でフィールドワークに取り組むのですね。先生の研究室は、環境政策(文系)コースの中でも、とくに野外、日本全国各地に足を運ぶ機会が多いほうだとうかがいました。
黒田 先生:そうなんです。学生さんたちには、広い意味での「環境」と人や社会のかかわりについて、自分でその現場に足を運び、そこに潜む課題や可能性を自ら見つけ出し、解明する力を身につけてもらいたいと考えています。いまこれだけ世の中に情報があふれていても、報道や世間で言われていることが、現場に行ってみると「違っている」と実感することが多いのですね。特定の立場やしがらみにとらわれない学生時代のうちに、ぜひ現場のリアルを体感してほしいと考えています。その後押しに力を入れています。

INTERVIEWER:それは、貴重な経験になりそうですね。ゼミの学生さんたちは、卒業後どのような道を歩まれるのでしょうか?
黒田 先生:研究室の大きな特徴なのですが、フィールドワークの経験や、研究テーマとその「問い(問題関心)」を、自分の将来の仕事や職業につなげる学生さんが多いと感じています。実際、環境問題や環境をめぐる取り組みの現場を経験したことで、「現場の声」をくみとって、世間で言われている事実に違った側面があることを伝えたいと、メディア関係の仕事に就く学生さんを毎年のように輩出しています。また、地元地域のことに明るい公務員の方々や、大学で社会調査士資格を取得して、会得したリサーチ・スキルを駆使して自分で調査を計画・実施・データ解析まで実践できる方たちが、環境分野にとどまらず広く活躍しています。ゼミは活動量が多いほうで、少しハードな面もありますが、大学時代に経験をたくさん積み、地域のみなさんに育てていただくことで、無類の強みを身に着けて元気よく社会に飛び出していく学生さんたちが多く、恵まれていると感じています。

INTERVIEWER:ゼミのにぎわいが、伝わってくるようですね!先生ご自身は、どういう経緯があって、いまの研究内容や調査のスタイルになられたのでしょうか?
黒田 先生:私自身、大学は「社会学科」を出ていて、社会学を学んでいた経緯はあったのですが、いまのフィールドワークの方法論は、大学時代に、少人数ながら仲間たちと環境サークル活動にはまっていたことがルーツになっています。当時は大学祭時のゴミの分別活動や、デポジットの取り組みなどをしている環境サークルが多かったのですが、私たちは一風変わっていて、未熟な学生なりに、「環境問題の現場」に行って、自分の目や耳で見聞きして、さまざまな立場や意見をもっている当事者の方たちにお話をうかがおう!というコンセプトで、全国あちこち回っていたんですね。そこでの経験や感覚が、いま私が学生さんたちに伝えたいことの礎(いしずえ)になっていますし、原動力にもなっています。実は、当時立ち上がったばかりの環境科学部の環境サークルと活動をご一緒したこともあるんですよ。懐かしいですね。

INTERVIEWER:ずっと前から、環境科学部と道がつながっていたのですね。最後に、ご覧になっている方々にメッセージをお願いします。
黒田 先生:環境問題は、特定の分野や方法だけで解決・改善に導けるもの、ではありません。問題の現場で何が起きているのか、その背景にどのような構造があり、どんなカラクリがひそんでいるのか。そこにあるもの、つちかわれてきたものを活かしながら、さまざまな分野や方法を組み合わせて、協力することではじめて見えてくる景色があります。環境科学部では、多くの課題に立ち向かうため、総合格闘技(アルティメット)のような融合研究に取り組んでいます。ぜひみなさんも参戦して、力を貸してくださいね!